第三章



「子どもの幼少期に与える環境の大きさ」

ひろゆきさん、のぞみさん、これまでの私の話で、家づくりにおいて見えない壁を作ってはいけないこと、閉ざされた系ではなくその逆、気が行き交う家を作ることの重要性はおわかりいただけましたでしょうか?
ひろゆきさん
はい。よくわかってきました。そして僕たちの家づくりにおいての夫婦間のこれまでの不調和音の原因も。このまま強引に家づくりを進めなくてほんとよかったなと思います。
ありがとうございます。私は自分が育った家にコンプレックスを持っていて、家が自分の人生に与えた大きさを身を持ってわかっていたんですね。だから大学でも心理学を学んだし、なぜ私の家が、家族にいろいろな問題を引き起こしていたのかが、大人になってからわかってきました。見えない壁がある家を作ってしまうと、なぜそこに住む人を疲弊させるのか?それは、その家が ”家族の心を浄化する役割を果たせていないから” です。逆に、家がそこに住む家族の心を浄化できる作用があれば、違う結果が起こります。これは私が大学で心理学を学んでいた時に知ったことなのですが、幼少期に子どもが受ける住環境や親からの影響が、どれだけその子にとって大きな影響を及ぼすか?ちょっと難しいですけど、神経回路が作られる過程にある幼少期の環境次第で、その子のその後が決まる。それを身をもって体験したのが、私と妹だったということです。
ひろゆきさん
習い事とか小さい頃にさせた方が良いっていいますもんね?
そう。子どもにとって住環境はもっと大事なんですね。本来、家は家族の心を浄化できる場所になっている必要があって、それができていないと習い事以前の問題になってしまうわけです。私が建築を目指したのも、世の中にそういう家を生みたくないと思ったからです。そんな家ではなく、心が浄化される家を世の中に作りたい。気が行き交い、そこに住む家族が健康で可能性が飛躍していくような家を。大自然を前にすると、自分が素のままの自分でいられる感覚になるじゃないですか?そういう家を、私は知っているわけだから作らないとですね。
ひろゆきさん
親友のお友達の家がそうだったんですね?
そうです。祖父の家もそう。それらの家の共通点は、LDKから家の中、庭に至るまでとにかく見えない壁がない、自然とのつながりや一体感を感じられたということです。そういう家は気が行き交っている。それが我々LOHASの設計と施工の考え方のベースになっています。

のぞみさん
それ、私がまさに建てたかった家かもしれない。木のぬくもりを感じながら家族が楽しい時間を過ごせる家。庭も含めて。
ひろゆきさん
のぞみは、古民家とか好きだもんね?
のぞみさん
うん。縁側で座りながら家族が楽しく団らんの時間を過ごせるようにしたい。だから窓を締め切って過ごす家とか私にとっては考えられない。寺崎さんの家づくりの考え方って私に合ってるかも。
家族が家で過ごす団らんの時間ってものすごく大事なんですよ。私の父が建てた家で、その思い出がまったくありません。子どもにとって大事な時期に家族の楽しい団らんの場所、団らんの時間、団らんの風景を家に作ること。それが、子どもにとっても、親にとっても思い出になり、それが木の家だと家に残るんです。それが木の家のいいところで、家に家族の思い出が刻まれていって、子どもが育って、家に戻ってきた時にも、思い出が蘇る。私どもLOHASが無垢材にこだわる理由がそこにあります。本物の木であれば、たとえ傷がついても愛着を伴って残っていく。一方、私の育った家の傷は、傷がつけば違う中身が見えるような感じで作られていて、素材は、木のようで木ではなかった。そういう傷は思い出どころか見たくない感じになってしまう。
のぞみさん
わかるー。今の家って本物の木じゃないものが多い気がする。新品の時は綺麗だけど、年月が経つと安っぽく見える感じ。硬くて冷たくて、木のぬくもりも感じられない。私はそういうものに囲まれていない家に住みたい。
子どもって覚えてるんですよ。私も小さい頃に育った、あの家の冷たさとか本物じゃない木の感じを今でも覚えています。一方で、祖父の家の縁側の無垢の木のこともしっかりと覚えている。それだけ幼少期の子どもに住環境が与える影響は大きいんだと思います。
のぞみさん
決めた!私、寺崎さんのところで家を考えてみたい!だって私の価値観に合ってる感じがするもん!ひろゆき、いいでしょ?
ひろゆきさん
のぞみが言うならいいけど。のぞみが首を縦に振らないあのメーカーの家はどうせ建たなかっただろうし。
のぞみさん
良し!寺崎さんのところで家を考えるなら、何から始めたらいいんですか?
ありがとうございます。我々LOHASの家づくりは、まずはご主人さんに心が欲している家とは何か?その時間をとってもらうことから始まります。この時間をとってもらうことがひろゆきさんご家族の家づくりの楽譜となるわけです。そしてそれを、ひろゆきさんがわかった後、その楽譜に必要な楽器を選びます。
ひろゆきさん
楽譜はどうやって作るんですか?
それは後ほどお話ししますね。楽譜ができたと仮定して、楽器を選んでいくわけですが、どんな間取りにするのか?どんなデザインにするのか?どんな性能にするのか?どんな仕様にするのか?を決定していきます。
ひろゆきさん
なるほど。楽譜ができて、はじめてそれらが決まるんですね?
私の幼少期の経験から、LOHASは、見えない壁を作らない、気が行き交う家のデザインができます。加えて、富士山で育った檜と杉の木を使いこなして正確に建てる技術を持ち合わせています。それが我々の強みです。あとLOHASのデザインの最大の特徴は、家と庭を一緒にデザインするところです。よくあるのが家は家で設計する、庭は庭で設計するみたいなことが行われていますが、これだと家と庭の間につながりがなく見えない壁を作ってしまう原因になります。
ひろゆきさん
あ、それまさにやろうとしてた…。
家と庭で ”家庭” ですから。やっぱり一緒に考えたいところですね。
ひろゆきさん
うーん、だいぶ僕らが行ってきた家づくりとは違うんだな。
私たちの家も、ひろゆきさんたちが検討されていたメーカーと同じ部分もあるんです。それは気密断熱性能だったり、空気環境だったり、耐震性能だったり、高性能住宅を私たちも建てています。気が行き交う家だからといって、昔の家みたいに「とにかく風通しの良い家を建てれば良い」という考え方ではないんですね。気が行き交う部分を考えるのはデザインの部分なんです。心の部分と言ってもいいかな。なので気が行き交うデザインをしつつ、家族が快適で省エネで長く住み継げるための性能を両立する。心の部分と体の部分、両方をデザインしていくのがLOHASの家です。
ひろゆきさん
なるほど。だから高性能住宅ってホームページにあったんですね。僕はこれまで家づくりを考える上で、体の部分しか頭になかったかもしれない。
ひろゆきさんが、木造でダントツの性能のメーカーを選んだという部分は大事なことだと思うんです。事実、LOHASも性能面では、そのメーカー以上の性能を誇ります。気密性能値も全邸で測っていますが、最近の平均でC値0.25を切っています。
ひろゆきさん
実測でそれはすごい。
でも、一番大事なのは、気が行き交う家にするデザイン力です。ここが抜けたらいくら高性能な家にしても、家に見えない壁を作ってしまい、心が浄化される家にはならない。
ひろゆきさん
なるほど。のぞみは僕のその部分の考え方の欠如に気づいていたんだな。だからあのメーカーで進めることになかなか賛成してくれなかったのか。
のぞみさん
でも、ここに来るまで私も気づいていなかったよ。もっと、ひろゆきに家のことを考える時間をとって欲しかったのはあったけどね。
ひろゆきさん
考える時間か。心の部分…。苦手な部分でもあるな。
男はみんなそうですよ。女性の方が感受性が高い生き物ですから。だから私も日々、女性従業員たちから気づかされることも多い。
ひろゆきさん
そうですね。でもそんな寺崎さんが僕に家族のことを考える時間をとらせるってどうやるんですか?僕はこれから、家づくりの楽譜を作らないといけないわけですよね?
その楽譜作りをするためのツールを作った女性がいます。ひろゆきさんにはそのツールを使って家づくりの楽譜を作ってもらう。
ひろゆきさん
女性が作ったツール?
そうです。HPMというすごいツールです。それについてを、最後にお話ししましょう。

第四章へ続く

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